ヤツには鍵穴に突き刺す針金も,スミス&ウエッソンも斬鉄剣も,催眠ガスもジェットヘリも必要ない。ただ自分の部屋でキーボードを叩いていればいいのさ。
quote:サイバー犯罪者がロンドンの三井住友銀行から,2億2000万ポンドを海外の10個の口座に移動させようとして失敗に終わったとフィナンシャルタイムスが報じている。三井住友銀行の責任者は,わたしたちはさまざまな対策を施し,損害はまったくなかったと述べている(THE INDEPENDENTの記事)。
小さなころから,大泥棒に憧れている。ちいさなものを盗むなんてのはつまらないが,巨万の富や価値ある芸術品,骨董品,厳重に守られているそれらを思いもよらない技法で手に入れるのは,楽しいことだろう。昔はルパン三世などなどいろんな泥棒が出てくるマンガやアニメがあったが,最近はさっぱりきかない気がする。まぁわたしが知らないだけかもしれないけど。そして,いまネットワークは大泥棒の舞台として,少しずつ認識されてきている。ネット関連のニュースを漁れば,泥棒犯罪小説のネタがゴロゴロだ。1年ほど前に,カリフォルニア大学サンディエゴ校のシステムに入り込んだハッカーは,学生,先生,従業員,卒業生など,38万人ものデータを盗み出した。泥棒は自室でキーボードを叩いているだけだろうから,なかなかの収獲物だ。
今回の三井住友銀行のシステムへの侵入も,440億円と云うとてつもない金額。そんな札束が目の前にあっても一度に持っていけないだろうが,ネットワーク上でなら簡単だ。で,どんな方法を使ったのかと云うと,報道されている部分だけではキーロガーが使われたと云う。…なんとも開いた口がふさがらない。キーボードで押したキーを記録するキーロガーは,あまりにも古典的で今風ではない。ではどぉやって銀行のコンピュータにキーロガーを設置したか,だ。外部から簡単にインストールするには銀行のファイアウォールは厳しいだろうし,ウイルスなどを侵入させるのも確実ではない。やはり内部関係者の仕業なのでは? と捜査が進められていると云う。なにか驚く内幕が出てくると楽しめるのだが。
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